討論
2025年6月10日、第295回日本専門家招待セミナーがハイブリッド形式で開催された。会場には15名、オンラインには10名の聴衆が参加する中、田村史記(仁川大学日本地域文化学科講師・ソウル大学日本研究所客員研究員)が、「公共投資を通してみる日本国土政策の新自由主義的転換」をテーマに発表を行った。
1962年の全国総合開発計画以降、日本の国土政策、そしてそれを空間的に体系化した国土計画は、国土の均衡ある発展を政策的志向として掲げてきたが、1980年代以降、その基調は新自由主義的な方向へと転換した。また、政策の実施過程において大都市、特に東京にインフラ投資などが集中した点も指摘された。こうした背景および関連する先行研究の紹介から始まった本セミナーにおいて、発表者は、実際に国土政策が新自由主義化したのか、また東京など特定地域に空間的に集中したのかについて、実証的な検証が必要であると指摘し、その具体的な様相を公共投資に関する時空間的分析を通じて論じた。
公共投資は国土政策の政策目標を達成するための手段であり、国土政策に基づいて地域別の行政投資額が決定される。発表者は、1962年から2019年までの各年の『都道府県別行政投資実績報告書』を用いて公共投資データを分析し、投資額を指数化した。そして、この指数の時空間的比較分析を通じて国土政策の集中度を導出し、その結果、日本の国土政策の基調が新自由主義的に転換してきたこと、さらに2000年以降は特に空間的にも東京に集中していることを確認した。発表は、こうした政策が地方圏に与える影響や、地方圏の持続可能な成長可能性などへの示唆を提示して締めくくられた。