研究クラスター
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成長主導社会日本の生活政治:洞視的なアプローチ
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研究概要
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本研究は、超成熟社会に対する志向と現在の多角的変化を排泄した日本社会の巨視的な構造変動を洞視的に眺めることを目標とする。 成長社会から成熟社会へ、さらに高度化の超成熟社会へ日本(と韓国)社会が 構造変動している、というようなアプローチが学界やジャーナリズムで一般的に 流行っているが、日本社会の長期変動を各段階間のブロックおよび断線的なステ ップ踏みによって誤認する危険がある。成熟社会、あるいは超成熟社会という理 解の枠組みが、もはや高度成長が不可能になった社会が路政的な閉塞感と抑圧さ れた葛藤と不満の表出を縫合するための曲げ表現に過ぎないのではなく、以前時 期に膨脹した物質万能の発展主義の世界観と成長主導の近代化過程がもたらした 破壊的結果に対する批判を盛り込んだ一つの社会的企画と読めれば、こうした企 画の基礎を固く固める過程として、現在に至る長期的社会変動の実体を断線的な 発展主義の枠組みから抜け出し綿密に検討しなければならない。 成熟社会論では、しばしば以前の時期の日本社会を成長社会という枠に通称し 規定するが、成長社会モデルを当然視する場合、「成長」を近現代日本が経験し た実体として当然視する古い認識の枠組みを再生する結果につながるだろう。む しろ成長社会談論を支えてきた経済的成長、政治的安定、社会文化的統合という 時代規定自体を、成長イデオロギーの定言命法であり、成長神話を生産し、再生 してきた認識論的基盤に相対化する時、日本社会の長期的歴史変動の中で成熟社 会、さらには超成熟社会に対する志向を生んだ基盤と問題を多角的に捉えること ができるのではないだろうか。 このような問題意識から、本研究は近現代時期を統一して成長神話を構築し、 再生してきた様々な企画のありさまを調べる一方で、成長神話にかかわって周辺 化された矛盾と葛藤、分裂の除霜を発掘し、成熟社会と超成熟社会というモデル を排泄した日本社会のダイナミズムと構造変動を説明する。
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研究責任者
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鄭知喜(ソウル大学 日本研究所)
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成長・安定・統合志向社会の「音のない声」と大議題民主主義の危機
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共同研究者
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南相旭(仁川大学 日文学)
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コロナ19と「日本型」民主主義ポストコロナ時代の国家と市民社会
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李垠庚(ソウル大学 日本研究所)
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「身体的」成長を奨励する国:近代日本「健康優良子表彰事業」を中心に
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朴スンヒョン(啓明大学 日本学科)
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優生保護法と戦後日本の家族計画
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徐東周(ソウル大学 日本研究所)
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<先進国>という自己表象と冷戦オリエンタリズム限定線
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韓程善(高麗大学 国際学部)
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成長主導型空間政治:「不法占拠地区(不法占拠バラック街)」出現と撤去
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金孝眞(ソウル大学 日本研究所)
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1970年代消費社会日本とジェンダー政治学:ディスカバージャパンとアンノン族の事例を中心に
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助教
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洪裕眞(ソウル大学 科学学科 博士課程)
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