討論
2025年5月20日、第294回日本専門家招請セミナーがハイブリッド形式で開催された。会場には15名、オンラインには16名の聴衆が参加する中、崔鐘敏 ソウル大学日本研究所先任研究員・亜洲大学社会学科講師が<日本の核潜在力に関する考察:核燃料サイクル政策を中心に>というテーマで発表を行った。
発表者は、韓国で核武装の代替案として議論されている「核潜在力」の概念を中心に、日本の事例を紹介し、核燃料サイクル政策を通じてこれを説明した。核潜在力は、核兵器を実際に保有せずとも、有事の際に備えて関連技術を開発・維持する戦略で、経済的・軍事的目的をともに持つ政策と理解される。発表者は、日本の原子力技術、国際協約、政治・社会認識、外交的背景などを基に核潜在力形成の文脈を説明し、核燃料サイクル開発の大義名分と政策現状を紹介した。
また、ウランとプルトニウムのような資源の「有効利用」を可能にし、使用済み核燃料の体積と有害度を減らせる点が核燃料サイクル開発の(表面的な)根拠として提示されていることを説明し、関連現状と政策目標などを紹介した。しかし、日本は技術的限界と福島原発事故以降に悪化した世論などにより、政策実現の核心である高速増殖炉と六ヶ所核燃料再処理施設の完工が遅延しており、それでも日本政府が政策を放棄できない背景と負担を多角的に分析した。発表は、このような事例が韓国に与える示唆点を中心に締めくくられた。
発表後には聴衆との質疑応答が続いた。原子力発電および関連技術の現状、再処理施設と高速増殖炉の技術的問題および経済性に関する質問と議論が活発に行われ、特に国家ごとに経済性に対する認識が異なる点が指摘された。この他にも、原子力技術の安全性とそれに対する認識、広島・長崎の原爆、1995年高速増殖炉「もんじゅ」のナトリウム漏洩事故、福島原発事故などにより形成された日本国民の核と原発に対する強い反感、そして核燃料サイクル政策と日本の電力会社および地方自治体間の関係に関する議論が続き、セッションが終了した。