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専門家招請セミナー

Seminars by Invited Experts

自由の約束: 日本を通して近代性を再考する 詳細情報
テーマ 自由の約束: 日本を通して近代性を再考する
発表者 Takashi Fujitani・トロント大学Dr. David Chuアジア太平洋学科名誉教授兼歴史学科名誉教授
日時 2024. 12. 18. (水) 15:00-17:00
場所 ソウル大学国際大学院(140棟)国際会議室及びオンライン(Zoom)
回次 290回
討論
2024年12月18日、「ポスト地域研究時代に考える日本の未来、日本研究の未来」X 日本専門家招聘セミナーの最終イベントがハイブリッド形式で開催された。
このイベントには約40名のオフライン参加者と20名のZOOM参加者が集まり、Takashi Fujitani教授(トロント大学Dr. David Chuアジア太平洋学科名誉教授および歴史学科名誉教授)が「自由の約束:日本を通して近代性を再考する」というテーマで発表を行った。

セミナーは以下の三部構成で行われた。

講演
Takashi Fujitani教授と日本研究所(IJS)の対談(IJS鄭知喜教授が進行)
質疑応答(Q&A)
発表者は、近代日本の歴史と植民地支配の文脈において、自由、権力、帝国主義的権威の交差点を考察した。発表は主に四つのテーマで構成され、それぞれ歴史叙述、国家、主権、帝国を中心に、自由が権力の条件であり道具としてどのように機能するのかを分析した。

藤谷教授は、J.S.ミル、ジョン・ロック、ルイ・アルチュセールといった主要な思想家たちの批判的概念とともに、福沢諭吉のような日本の知識人たちの思想を活用した。特に、明治政府が徴兵、ナショナリズム、主体形成を通じて権力を行使した様相を考察し、「自由」が国家権威への自発的服従として規定されるあり方を分析した。これは、西欧自由主義の伝統に見られるテーマとも類似する。

また、発表者は「主権的主体性」という概念を通じて、主体が自由な行為者であると同時に帝国権威に従属する存在であるという二重の役割を論じた。日本の戦時映画やメディアの事例を用いて、映画的描写が「服従を通じた自由」という帝国イデオロギーを強化する様相を示した。「天皇のパノプティコン的視線」やアルチュセールの呼びかけ(interpellation、個人が主体として呼びかけられる過程)などの概念は、国民的アイデンティティと帝国支配への服従を形成する上で、象徴的権力の重要な役割を強調する。

Fujitani教授は、植民地管理、アジア太平洋戦争、そして日本帝国の拡張を形作った究極の「自由の約束」についての考察をもって発表を締めくくった。このエピローグは、近代日本とその植民地において、自由、主権、帝国の持続的な遺産に対する問いを提起する。

最後に行われたQ&Aセッションでは、以下のテーマが議論された。

権力の作動条件としての自由、最近の韓国の戒厳令との関係
日本の天皇制とキリスト教の類似性
「大衆的権威主義(popular authoritarianism)」
イメージ

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