討論
2024年3月26日第二回ポスト地域学時代に考える日本の未来、日本研究の未来×日本専門家招請セミナーがオン/オフラインハイブリッド形式で開催された。現地には二十数名、オンラインでは四十名ほどの聴衆が参加するなか、日本映画大学映画学部・藤田直哉准教授が「八〇年代への回帰願望――現代日本のネットのミソジニー現象について」というテーマで発表を行った。内容は以下の通りである。
発表者はまずミソジニーとサブカルチャーの関係性について説明した。また、日本のオンライン上でのミソジニーの事例として「弱者男性論」や「表現の自由戦士」などの例を挙げた。日本だけでなくアメリカの「Qアノン(QAnon)」、「インセル(Incel)」、また「ネット右翼(Alt-Right)」のイデオロギーの構成に対しても言及した。特に日本で、経済の停滞により、男性としての位置を失った男性たちを可視化し、彼らがアニメキャラクターたちを「所有」することで家父長的欲望を満足させられるかについて示唆した。
発表後には質疑応答が続いた。弱者男性のナラティブ、女性オタクとの違い、弱者男性が考えていた80年代と実際の80年代の相違点に対する議論などが行われ、セミナーは幕を閉じた。