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専門家招請セミナー

Seminars by Invited Experts

戦後政治史の中の司法権と制度の独立:田中耕太郎と司法権・世界法 詳細情報
テーマ 戦後政治史の中の司法権と制度の独立:田中耕太郎と司法権・世界法
発表者 牧原出(東京大学・先端科学技術研究センター政治行政システム分野)
日時 2024年3月19日(火) 12:30-14:00
場所 ソウル大学国際大学院(140棟)2階GLルーム/ ZOOMによるオンライン開催
回次 281回
討論
2024年3月19日第一回ポスト地域学時代に考える日本の未来、日本研究の未来×日本専門家招請セミナーがオン/オフラインハイブリッド形式で開催された。現地には二十数名、オンラインで16名ほどの聴衆が参加するなか、牧原出東京大学先端科学技術研究センター(政治行政システム分野)教授が「戦後政治史の中の司法権と制度の独立:田中耕太郎と司法権・世界法」というテーマで発表を行った。内容は以下の通りである。

発表者はまず口述歴史(oral hisory)の有用性に対し説明した。また、2020年度から始まった日本の戦後史の再構築史について言及し、資料の少ない状況を打開するための突破口として田中耕太郎の特別な位置について説明した。田中耕太郎は研究者でありながら、政策提案など立法・行政・司法のすべての分野で長を務め、多数の著作・論述を行っただけでなく、その交友関係の広さにも注目した。例えば、田中は第二代大法院長に就任し、10年間もの間在任した。公的にだけでなく、田中は戦後日本のメインストリームと闘った対抗者、敬虔なカトリック信者であり、国際法律家として特殊性・普遍性をいずれも持った人物であった。続けて発表者は日本の司法政治の特質と、田中が大法院の「事務総局支配」に関連し一部法官の主流化を批判したという事実、また、現在の司法消極主義になるしかない政治的環境が田中の在任時代の延長線上にあったことを力説した。

発表のあとには、質疑応答が続いた。岸信介との憲法改正をめぐった潜在的対立、プロテスタントとしての特異性、安倍の政策との関係、近年の政治的イシュー(同性婚など)に対し田中がどのようなコメントをしたのかなどの議論が行われ、セミナーは幕を閉じた。
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