[3/19開催]戦後政治史の中の司法権と制度の独立:田中耕太郎と司法権・世界法

2024-03-18l 検索件数 687


脱冷戦とグローバル化の時代30年が過ぎ、「地域」は再境界化の激変の中に立たされています。これに従い、「地域」を見つめる知識体系、つまり「地域研究」の内容と方法も境界を行き来しながら新たに構成されています。今まさに「ポスト地域研究」の時代が開かれているのです。
そんな中で「日本の未来」、「日本研究の未来」を探るため、開所20周年を迎えたソウル大学日本研究所が各分野の最前線で活躍する専門家を招待し、8回の講演シリーズを準備しました。

その初回として、牧原出 東京大学教授をお招きし、以下の通り講演会を開催いたしますので、関心のある方々のご参加をお待ちしております。

 

日時:2024年3月19日(火) 12:30-14:00

場所:ソウル大学国際大学院(140棟)2階GLルーム/ ZOOMによるオンライン開催

*今回のセミナーはハイブリッド開催(オフライン/オンライン)で行います。

*オフラインでのご参加の場合、事前予約なしにどなたでもご参加可能です。午後12時から昼食をご提供します。(数に限りがありますので、なくなり次第終了とさせていただきます。)

*オンライン参加をご希望の方は以下のリンクから事前予約をお願いいたします。
https://forms.gle/TdsoB9xZxvmRq8Lv9

 

発表者:牧原出(東京大学・先端科学技術研究センター政治行政システム分野)

題目:戦後政治史の中の司法権と制度の独立:田中耕太郎と司法権・世界法

言語:日本語

要旨:第2次世界大戦終了から間もなく80年になる。この長大な戦後の日本政治を歴史の観点から語るには、いかなる条件が必要か。ここでは、そうした問題意識から、堅固な制度の軸である司法権と司法政治から考えてみたい。日本国憲法の下で憲法上保障された司法権は、地方自治と並ぶ制度原理として、その独立性が問われ続けた。問題はその初期にほぼ出そろっている。そこで司法権をひとまず制度として確立させた人物として、発足初期に10年間最高裁判所長官を務めた田中耕太郎に焦点を当てる。田中は、『世界法の理論』を執筆した国際的視野のある東京帝国大学教授であり、敬虔なカトリックの信者であったのみならず、戦後は文部省学校教育局長・文部大臣として日本国憲法・教育基本法の制定に尽力し、参議院文教委員長を務め、最高裁長官退任後は日本初の国際司法裁判所判事となる。立法・行政・司法のすべてで長を務めた唯一の人物である。吉田茂・佐藤榮作と近く、岸信介とは憲法改正をめぐって潜在的に対立した田中は、教育基本法を改正した安倍晋三による集団的自衛権の解釈変更に際して、砂川事件の判決を介して解釈上の根拠を提供してもいる。その容易ならざる人生行路を軸に、戦後政治史をどうとらえればよいか展望したい。

お問い合わせ:日本研究所行政室(880-8503 / ijs@snu.ac.kr