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専門家招請セミナー

Seminars by Invited Experts

韓国と日本の少子化の原因はどのように違うのか? 詳細情報
テーマ 韓国と日本の少子化の原因はどのように違うのか?
発表者 笹野美佐恵(茨城大学現代社会学科教授)
日時 2022年9月27日 12:30-14:00
場所 Zoom Webinar
回次 269回
討論
2022年9月27日、第269回日本専門家招請セミナーがオンライン開催された。70人余りが参加し、ソウル大学アジア研究所東北アジアセンターの笹野美佐恵 客室研究員が「韓国と日本の少子化の原因はどのように違うのか?」というテーマで発表した。発表内容は以下の通りである。

 発表者はまず、韓国と日本の共通した社会現象として「少子化」の現状と両国の少子化対策を比較提示した。韓国政府は、日本政府に比べてはるかに多くの予算を注ぎ、多様な政策を講じてきたにもかかわらず、日本よりも速いペースで進む出産率低下の現象を理解するために、その背景要因として「家族価値の変動」に注目した。
 一方、発表者は両国の若者世代の女性を中心に広がっている家族価値の変動における方向性と進行スピードの違いを提示し、1990年代の経済危機以降の構造的変化からその原因を見出した。女性の労働市場への参加、女性の高学歴化、そして家族/女性政策の特色とその方向性という3つの側面の違いを説明した。
 発表が終わった後、質疑応答と続いた。まず、最近の日本における出産率の回復傾向と、日本の結婚・出産率に対する今後の見通しについて質問があった。発表者は人口学研究者たちは日本のいわゆる団塊のジュニア世代が出産が遅く、出産率の増加に寄与したと分析している点を言及した。ただ、日本で妊娠・出産に適した年齢の女性の数が実質的に多くないため、出生児数は減少する状況であることを念頭に置く必要があることを付け加えた。また、日本女性の結婚及び出産に対する価値観が10年前に比べて否定的になったことが明らかになり、結婚及び出産率も減少する可能性が大きいと答えた。
 加えて、韓国フェミニズムの動向が日本へSNSを通じてリアルタイムで発信され、肯定的に注目する雰囲気に対する評価や、韓国の家族価値観と不動産価格の引き上げの関係、日韓両国の家庭内の生活費比較、日本女性の高い非正規職雇用率と比較的低く現れる教育水準の背景などがあげられる。また韓国の若い女性間で共通した価値観である物質主義・個人主義的な考え方や高い社会意識間での分断など質疑応答に対する議論が行なわれた後、セミナーが終わった。
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