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専門家招請セミナー

Seminars by Invited Experts

日本での'孤独死の現象'の'実在'と'談論' 詳細情報
テーマ 日本での'孤独死の現象'の'実在'と'談論'
発表者 呉獨立(オ・ドクリプ) (九州大学韓国研究センター)
日時 2022年9月13日 12:30-14:00
場所 Zoom Webinar
回次 268回
討論
2022年9月13日、第268回日本専門家招待セミナーがウェビナーで開催されました。50人余りの参加者が参加した中、九州大学韓国研究センターの学術研究員である呉獨立(オ・ドクリプ)が「日本での'孤独死の現象'の'実在'と'談論'」というテーマで発表しました。
発表内容は以下の通りです。

 発表者は日本で「孤独死」という概念が明確な定義を持たないまま議論されてきた現実に注目した。日本で「孤独死問題」は「福祉元年」1973年から高齢者問題というフレームの中で注目され始めた。1995年、阪神・淡路大震災の被害者のための仮説住宅内での死亡事件によりコミュニティの解体現象を示す社会問題として本格的に位置づけられ、2000年代には北九州市の門司餓死事件を含む一連の事件が起きるにつれ、「孤独死問題'がそれ自体として実在性を持つようになった。このような流れによって「孤独史問題」に対する政策的関心も高まったが、その政策的対応の方向は概ね「コミュニティ」や「地域福祉」を中心に一貫して維持されてきた。
 日本で孤独死現象がこのように「コミュニティー」というキーワードを中心に認識、対応してきた背景として日本内の「孤独死談論」の具体的な側面に注目する。大きく分けたら、福祉/制度談論、個人化談論、コミュニティー談論の3種類の談論に分けられ、その中でもコミュニティー談論が最も強いことが明らかになった。ただ、発表者は、日本で孤独死対策の代表的成功事例として度々言及される常盤平団地の事例を分析しながら、むしろコミュニティー志向的対応方式に対する再考が必要だということが明らかになったと強調した。
 一方、発表者は韓国の「孤独史談論」は日本とは違ってコミュニティーというより、福祉/制度談論がより強く現れるという点を加えて説明した。
 発表後、質疑応答が行なわれた。まず「孤独死現象」の普遍性及び特殊性に対する質疑があった。これに対して発表者は「孤独死」という概念が主に日本と韓国、中国でのみ使われ、西洋にはこれに該当する概念がないと答えた。ただし、「孤独史」現象の普遍性/特殊性は、日本と西洋の個人主義の違いとも密接な関連があると考えられ、今後の研究課題として考えていると付け加えた。さらに、孤独死の克服成功の追加事例、孤独死と無縁死の違い、「孤独死」と「孤立死」の用語、日本でコミュニティーと個人の関係に敏感に反応する理由、コミュニティーより国家制度を重視する韓国の福祉システムの限界、「新しいコミュニティー」の概念などの質疑について議論がなされた後、セミナーが終わった。
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